100th  日本大学桜門建築会ロゴデザインコンペティション結果報告 report

桜門建築会では今夏、創立100周年を記念して、会のシンボルとなるようなロゴデザインを、卒業生、在校生を対象に募集しました。会にとっては初めての試みで、募集期間約1か月の間に、47件の作品が寄せられた審査の経緯と当選作品、当選者のことばを紹介します。

創立100周年式典で行われたロゴデザインコンペティション優秀賞の表彰式

新機能が盛りだくさんのホームページ

コンペ開催の経緯

桜門建築会では、当初から岩﨑会長の強い思いを受けて、桜門建築会のロゴを100周年の記念事業のひとつとして作成することを計画していた。具体的に構想が動き始めたのは2020年3月の運営委員会である。ここで2022 年度の桜建会事業の一環として、コンペティション形式でロゴデザイン案を募集することが決まった。

事業委員会では、山中新太郎委員長と石井要憲副委員長を中心に、まず今村雅樹氏に審査委員長を打診し、審査員の選定と募集要項作りを行った。
審査メンバーは下記のとおりである。
審査委員長は今村雅樹(理工学部建築学科特任教授・建築家)、審査委員は笠井則幸(芸術学部デザイン学科教授)、浦部智義(工学部建築学科教授)、亀井靖子(生産工学部建築工学科准教授)、沖田章喜(元NTTファシリティーズ代表取締役社長)の5 名である。

コンペの主旨と要項

コンペの主旨として今村審査委員長より下記のようなことばをいただいた。
「伝統ある「桜門建築会」は、今年で創立100周年を迎えます。これまでに多くの活躍する建築人を輩出した日大建築の歴史を讃え、そして、新しく始まる次の100年に向けて、私たちのシンボルとなり多様な媒体に活用できる「桜門建築会のロゴデザイン」を創りたいと思います。ここに日本大学建築・デザイン系の卒業生および在校生を対象に原案を募集します」

応募資格については、日本大学建築・デザイン系の卒業生および在学生とし、年齢、過去のデザインの経験は問わないとした。
主な制作条件は下記のとおりである。
・制作物はロゴマークおよびロゴタイプとし、ロゴタイプ文字列は「桜門建築会」とする。
・色数、彩色ともに自由。
・モチーフは、桜門建築会に関連あると思われるもの、主旨に沿うと考えられるものの中で自由。
・採用作品の用途として、桜建会報、桜門建築会ホームページ、各種イベント時のお知らせなどに使用する。

応募と審査の経緯

8月10日に受付を開始し、9月5日の締め切りまでに47件の応募があった。当初は応募がなかなか集まらず、事務局はやきもきしたが、最終日が近づくにつれて続々と作品が集まり始め、最終的には各学部学科の現役学生や幅広い卒業学部学科、年代の卒業生から作品が集まった。

審査は事業委員会の立ち合いのもと、9月12 日理工学部駿河台校舎タワー・スコラ7階スタジオで行われた。
まず、1 次審査で審査員がひとり5 案を選んで投票した。5人の審査員から投票されたのは16作品であった。そこから、1票のものをひとつずつ審議し、最終的に8作品まで絞った。
これらを対象に、2 次審査が行われ、審査員はひとり2案を選んで投票した。結果は4票と3票の作品がひとつずつで、残りの3作品は1票ずつであった。そして、優秀賞の選考のために4票と3票の作品のどちらかを選ぶ議論がなされた。
審査では、桜建会としてのメッセージ性やさまざまな媒体・大きさでのデザインの有効性など、多様な角度から時間をかけて議論が交わされた。最終的に4票の作品を優秀賞とし、3票の作品は当初予定してなかった審査員特別賞(賞金はなし)を贈ることに決定した。

桜門建築会ロゴコンペティション 審査様子

受賞者と受賞作

【優秀賞】
岩﨑洋太さん(2011年日本大学大学院不動産科学専攻博士前期課程修了)

【審査員特別賞】
齋藤千遙さん(日本大学生産工学部創生デザイン学科2 年)

優秀賞のデザインコンセプトと審査講評

応募者による優秀賞のコンセプトは下記のとおりである。
「日本大学を象徴し、当会の名前にも入る桜をデザインのベースとしています。桜のデザインを桜門(桜紋)と見立て、その桜門をくぐり抜けた先で、卒業生たちが日本・世界の建築・都市づくりに携わっていくことをイメージし、誰しもが建築をイメージしやすいデザインを桜の中央に配置しました。
ロゴタイプの書体は、卒業したての若者などに受け入れやすいデザイン性のある「VDL ラインG アールR」の書体を今回は使用していますが、ロゴデザイン自体が曲線と直線を組み合わせたものなので、教科書体などもマッチします」

この案に対して審査員からは次のような講評があった。
・多様な展開に耐えられる、総合的にバランスがいい案です。
・第一印象として、ぱっと目につくとても良いデザインで、桜と建築の掛け合わせが上手にコンバインできている案です。
・ロゴ自体も建築的でよく考えられており、建築の集まりである表現が、視覚化されています。
・桜門建築会の象徴という意味では、建築に関係する人びとの集まりだな……というイメージが見えるので、いいのではないでしょうか。
・輪郭の桜の花びらの動きのある表現がこれからの未来への活動と、中の建築シルエットの線画が質実剛健な日大建築のイメージと合わさっている案です。

10 月28 日の100周年記念式典において、今村審査委員長より審査経緯の説明と優秀賞・審査員特別賞の紹介、受賞者への表彰が行われた。会場からの大きな拍手をもって優秀案が承認され、桜門建築会のロゴデザインとして採用されることになった。

桜門建築会ロゴ

受賞者と受賞作

今後のロゴデザインの活用

こうして100周年の節目に桜門建築会のロゴデザインが初めて決定した。
ロゴデザインについては、桜門建築会として商標登録を行い、ホームーページや会報、各種印刷物などに使用されていく予定である。新しいロゴデザインのもとで、これからも桜門建築会に多くの卒業生たちが集い、日本・世界の建築・都市づくりに携わっていくことを期待したい。( 山中新太郎/事業委員会委員長)

ロゴマークをつくった岩﨑洋太さんのコメント
この度は、桜門建築会の次の100年を担うロゴの作者として名誉ある賞に選出いただき、ありがとうございました。たいへん光栄に思います。
昔からデザインすることが好きでいろいろと描いて遊んではいましたが、初めて応募したこのデザインが評価されたことに、驚きとともにとても嬉しく感じています。

100周年記念式典の際、審査員の方々のコメントをお聞きしましたが、このデザインを私の思い以上に深く広く解釈していただいたことを知り、桜門建築会とともにこのロゴを皆さまの手で成長させていって欲しいなと思いました。

桜門建築会ロゴコンペティション 受賞者